「りゅうおうのおしごと!」3巻の感想。才能と努力。夢を追い続ける事の難しさ。熱い回でした!

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普段は優しいお姉さんキャラだった桂香の人間味の溢れる話でした。

天才が当たり前に出来ることが出来ない。苛立ちを周りにぶつけ、そのこと自体を嫌悪する。哀れを誘って同情を誘う。

今までと変わってシリアスな展開が目立ち、桂香にスポットを当てた回になっています。

では感想をどうぞ。

あらすじ

「あいも師匠と一緒に『おーるらうんだー』めざしますっ!!」

宿敵《両刀使い》に三度敗れた八一は、更なる進化を目指して《捌きの巨匠》に教えを乞う。

一方、八一の憧れの女性・桂香は、研修会で降級の危機にあった。急激に成長するあいと、停滞する自分を比べ焦燥に駆られる桂香。

「私とあいちゃんの、何が違うの?」

だが、あいも自分が勝つことで大切な人を傷つけてしまうと知り、勝利することに怯え始めていた。そして、桂香の将棋人生が懸かった大事な一戦で、二人は激突する――!

中飛車のように正面からまっすぐぶつかり合う人々の姿を描く関西熱血将棋ラノベ、感動の第三巻!!

読んでみた感想

今回の話は少しシリアスな雰囲気になっており、桂香にスポットを当てた話になっています。いつもは大人の女性で26歳で女流棋士を目指すキャラクターでしかなかった桂香が、見栄もプライドもかなぐり捨て、本気で自分の「夢」を追おうとする話でした。

焦る桂香

物語は主人公・八一が「両刀使い」の山刀伐尽に敗北を喫する場面から始まります。中学生プロ棋士としてのデビュー戦でボロ負けして以来、山刀伐に勝つことの出来ない八一。

次の山刀伐との対局は三週間後に迫るなか、アパートに戻ると畳の上に倒れている弟子のあい。旅館の娘であるあいは長いあいだ「大きいお風呂」に入らないと禁断症状的なものが出てしまうようで。

銀子や桂香と一緒に銭湯に出掛けた八一だったが、桂香が漏らした「もうすぐ26歳になっちゃう」言葉で憧れの女性の不安を知ってしまう。

女流棋士になるには最低でも、申請時点で27歳未満であること、連盟所属の場合は師匠がいることが条件になっている。要するに桂香には時間がないのである。

数日後、気分転換に桂香を誘った八一だが、、桂香は「ごめんなさい。しばらく連絡してこないで」と言って電話を切ってしまう。

八一、弟子入りする。

山刀伐尽の対策に完全に行き詰った八一は、今まで居飛車だった戦法から、振り飛車も使う「両刀使い」を目指す事を決意、あいを連れて向かったのは、一軒の古びた銭湯「ゴキゲンの湯」。

そこに居たのは「捌きの巨匠」と呼ばれる生石充玉将。

「居飛車」を使う八一とは全く違う世界を見せ付ける「振り飛車党」生石の「ゴキゲン中飛車」に手も足も出ないまま敗れた八一はその場で弟子入りを申し込む。

「両刀使い」を目指す事を決意した八一を生石は、あいをバイトとして雇うついでに弟子にしてやると受け入れ、八一の修行が始まります。

桂香、弟子入りする。

八一が生石に弟子入りしたのと同時期、桂香は銀子に相談を持ちかける。

「勝てないのもつらいけど、どれだけ努力をしても進めていないのがつらいの。」

これはきつかった。才能の無い事を自覚している人間が、それでもなお実力の世界で生きようとする厳しさと、もう後が無いゆえの焦り、後輩の才能への嫉妬や苛立ち。それらを直球に書いたらここまで胸にくる話になるのか…。

そして「山刀伐尽」戦へ

2週間の修行を経て山刀伐尽に挑む八一。

生石で学んだ「中飛車」を早速繰り出す八一だったが、「圧倒的研究量」でそれを叩きつぶす山刀伐尽。

手をすべて読まれ、心が折れかける八一。しかし心は負けを認めておらず、今まで挑むたびに負けてそれでも立ち上がり、そして竜王に至った。挑み続ける事が不可能を可能にする手段を信じて、勝利への1手を模索する。

そして見つけた「三連続限定合駒」。山刀伐尽の大手をかわし続け勝利を掴んだ八一。ここから「最強への道」を歩み始めます。

変わり始めた桂香

ここで2連敗したら引退を決意する桂香。今まで行ってこなかった盤外戦術を使い、意地やプライドを捨て天衣とあいに挑みます。

あいとの対局は桂香有利進んでいく。そこには今まで負け越していた桂香の姿はなく、「圧倒的研究量」から意地でも勝とうとする「桂香の将棋」がありました。

天衣に負けた悔しさから、もう負けたくないと誓ったあいは「圧倒的才能」で桂香の攻めを捌いていきます。

圧倒的有利から逆転された桂香は過去の自分を振り返る。

棋士として遅くスタートした桂香は、年齢を重ねるごとに現実に押しつぶされそうになり、銀子や天衣、あいに嫉妬し、自分の才能の無さに将棋を嫌いになっていく。そして何より他人に嫉妬する自分のことが嫌いになっていました。

彼女は自分の夢を見つめなおす。

投げ出したいのか、この夢を。

「そうじゃないよね。」

こんな苦しい局面で、まだ往生際悪く投げられないでいる。

自分の夢を再確認し、焦りや嫉妬から吹っ切った桂香。対局では敗北し、女流棋士の夢は遠のいたけれど、彼女の顔には笑顔が戻り…。

10歳の私へ

25歳の私は、今でも夢を追いかけているよ。

まとめ

今回のテーマは「才能 対 努力」そして「夢」や「憧れ」だった。

八一が、「棋士」として強くなりたい、そして現名人に勝てるようになりたいと願い、その第一歩として乗り越えられない壁であった山刀伐に挑む展開はまさに「才能 対 努力」。

才能に恵まれていないと自覚しながらも「努力の怖さ」を見せてくれる山刀伐の姿には、最近のライトノベルでは見る事の少ないキャラクターが描かれていた。

そして才能が無い事を自覚し、それでも才能の持つ人たちのいる場所を目指そうとする銀子の姿は、将棋界の厳しさと、棋士の孤独をを思い知らされた。

才能を最大限に発揮するために必要なのが「夢」や「憧れ」である。それがあるから成長していく。「才能」や「努力」だけでは壁は越えられない。そこに必要なのが「夢」である。という言葉は今後自分の中で、残っていく言葉になりました。

いままでの作風と変わってシリアスな展開ではありますが、「夢」を持ち続ける事の難しさや、「努力の怖さ」を教えてくれる作品になっています。

ぜひ一度読んでみてください。

ではまた!

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